後鼻神経切断術
後鼻神経切断術とは
後鼻神経とは鼻水やくしゃみに関与する神経です。アレルギー性鼻炎ではこの神経が過敏に反応しており、鼻水、くしゃみ、むずむず感の原因となっています。後鼻神経切断術はこの神経を切断することで症状を軽減する手術です。内服薬や点鼻薬などで効果の得られない重症のアレルギー性鼻炎に対して行われます。
後鼻神経切断術の流れ
後鼻神経は鼻の奥にある蝶口蓋孔という穴を通って脳から鼻の中に出てきます。鼻の粘膜下を走行する後鼻神経を見つけ出して焼灼・切断することで鼻水やむずむず感を軽減します。止血のスポンジを挿入して手術を終了します。後鼻神経切断術は粘膜下下鼻甲介切除術と組み合わせて行う場合が多いため、手術時間は2つの手術を合わせて片側15〜30分程度です。
後鼻神経切断術の術後経過
手術終了後は院内で30分程度安静にしていただき、問題がなければ帰宅となります。鼻に詰め物がしてあるため、口呼吸となりますが、デスクワークや日常生活レベルの動作は可能です。手術から2〜3日後に外来を受診していただき、止血のスポンジを抜去します。その後は月に1〜2回程度通院していただき、状態が安定していれば通院は終了となります。
後鼻神経切断術の合併症
出血
手術中は粘膜や神経を切開するので少量の出血があります。止血をして手術を終了し、術後は止血のタンポンを鼻の中に入れておきます。稀に術後にも出血することがあり、止まらない場合は止血の処置が必要となることがあります。
疼痛
術後に痛みを感じることがあるため、症状に応じて鎮痛剤を内服していただきます。
後鼻神経切断術の費用
手術費用について
手術名 | 保険点数 | 自己負担額(3割負担) |
---|---|---|
後鼻神経切断術(経鼻腔的翼突管神経切除術)<片側> | 30460点 | 91,380円 |
高額療養費制度について
高額療養費制度とは、ある1ヶ月間に支払う医療費が一定額を超えた場合に、その超過分が支給される制度です。手術の医療費は高額となることが多いため、この高額療養費制度が適応になる場合があります。
高額療養費制度では、医療費の自己負担額に上限額を設けています。ひと月(1日から末日まで)の医療費を対象として算定され、この期間内において一定の上限額を超えると、超過分は加入している公的医療保険から助成が受けられます。
手術の前にご加入の医療保険から「限度額適用認定証」の交付を受けておくことで、手術当日の窓口での支払いは高額療養費の支給額を除いた上限額のみとなります。
上限額は年齢や所得水準により異なり、厚生労働省により段階的に見直しが行われております。高額療養費制度の詳細や最新の上限額については「厚生労働省HP」でご確認ください。
<69歳以下の方の上限額>
区分 | 適用区分 | ひと月の上限額(世帯ごと) |
---|---|---|
ア | 年収約1,160万円~ 健保:標報83万円以上 国保:旧ただし書き所得901万円超 | 252,600円+(医療費-842,000)×1% |
イ | 年収約770~約1,160万円 健保:標報53万~79万円 国保:旧ただし書き所得600万~901万円 | 167,400円+(医療費-558,000)×1% |
ウ | 年収約370~約770万円 健保:標報28万~50万円 国保:旧ただし書き所得210万~600万円 | 80,100円+(医療費-267,000)×1% |
エ | ~年収約370万円 健保:標報26万円以下 国保:旧ただし書き所得210万円以下 | 57,600円 |
オ | 住民税非課税者 | 35,400円 |