下鼻甲介手術
下鼻甲介手術とは
下鼻甲介とは鼻の中にあるひだのような構造物です。アレルギー性鼻炎などで下鼻甲介が腫れると空気の通り道が狭くなってしまい、鼻づまりを感じます。この状態を肥厚性鼻炎と言います。下鼻甲介手術はこの腫れた下鼻甲介を小さくして空気の通り道を広げることで、鼻づまりを解消する手術です。
下鼻甲介手術の流れ
下鼻甲介手術の手術手順をお示しします。
日帰り手術前後の流れについては鼻の日帰り手術のページもご覧ください。
手術は鼻の穴から内視鏡と手術機器を挿入して、鼻の中だけで行います。顔を切ったりすることはないため、顔に傷が付くことはありません。
当院の下鼻甲介手術は粘膜下下鼻甲介骨切除術を行なっております。これは下鼻甲介の粘膜は温存し、粘膜下の骨だけを切除する方法です。粘膜だけを切除したり、粘膜を焼いたりする下鼻甲介手術に比べ高度な技術が必要で、手術時間も長くなりますが、粘膜を温存するため鼻の加湿が保たれる、術後にかさぶたが付きにくい、出血が少ないなど多くのメリットがあります。
下鼻甲介が腫れて、左の鼻腔が狭くなっています。
下鼻甲介に局所麻酔を行います。
腫脹した下鼻甲介の粘膜を切開し、粘膜を剥がして下鼻甲介骨を確認します。
肥大した下鼻甲介骨を切除します。
切開した粘膜を縫合します。下鼻甲介が小さくなり、鼻腔が広くなったことがわかります。最後に止血のスポンジを挿入して手術終了です。
手術時間は片側15〜30分程度です。
下鼻甲介手術の術後経過
手術終了後は院内で30分程度安静にしていただき、問題がなければ帰宅となります。鼻に詰め物がしてあるため、口呼吸となりますが、デスクワークや日常生活レベルの動作は可能です。手術から2〜3日後に外来を受診していただき、止血のスポンジを抜去します。その後は月に1〜2回程度通院していただき、状態が安定していれば通院は終了となります。
下鼻甲介手術の合併症
出血
手術中は粘膜を切開したり、骨を摘出するので少量の出血があります。止血をして手術を終了し、術後は止血のタンポンを鼻の中に入れておきます。稀に術後にも出血することがあり、止まらない場合は止血の処置が必要となることがあります。
疼痛
術後に痛みを感じることがあるため、症状に応じて鎮痛剤を内服していただきます。
エンプティーノーズ
下鼻甲介を極端に小さくしてしまうと、鼻腔内で気流の乱れが生じ、鼻の詰まりや乾燥を感じる場合があります。以前の手術では下鼻甲介を大きく切除する方法が行われていたことがあり、しばしばこの合併症が問題となっていました。当院では下鼻甲介の粘膜は温存し、粘膜下の骨だけを必要な分だけ切除する粘膜下下鼻甲介骨切除術を行なっており、エンプティーノーズが発症する可能性はほぼありません。
下鼻甲介手術の費用
手術費用について
手術名 | 保険点数 | 自己負担額(3割負担) |
---|---|---|
粘膜下下鼻甲介骨切除術(内視鏡下鼻腔手術Ⅰ型)<片側> | 7940点 | 23,820円 |
高額療養費制度について
高額療養費制度とは、ある1ヶ月間に支払う医療費が一定額を超えた場合に、その超過分が支給される制度です。手術の医療費は高額となることが多いため、この高額療養費制度が適応になる場合があります。
高額療養費制度では、医療費の自己負担額に上限額を設けています。ひと月(1日から末日まで)の医療費を対象として算定され、この期間内において一定の上限額を超えると、超過分は加入している公的医療保険から助成が受けられます。
手術の前にご加入の医療保険から「限度額適用認定証」の交付を受けておくことで、手術当日の窓口での支払いは高額療養費の支給額を除いた上限額のみとなります。
上限額は年齢や所得水準により異なり、厚生労働省により段階的に見直しが行われております。高額療養費制度の詳細や最新の上限額については「厚生労働省HP」でご確認ください。
<69歳以下の方の上限額>
区分 | 適用区分 | ひと月の上限額(世帯ごと) |
---|---|---|
ア | 年収約1,160万円~ 健保:標報83万円以上 国保:旧ただし書き所得901万円超 | 252,600円+(医療費-842,000)×1% |
イ | 年収約770~約1,160万円 健保:標報53万~79万円 国保:旧ただし書き所得600万~901万円 | 167,400円+(医療費-558,000)×1% |
ウ | 年収約370~約770万円 健保:標報28万~50万円 国保:旧ただし書き所得210万~600万円 | 80,100円+(医療費-267,000)×1% |
エ | ~年収約370万円 健保:標報26万円以下 国保:旧ただし書き所得210万円以下 | 57,600円 |
オ | 住民税非課税者 | 35,400円 |